JH8YDY/2運用余談
JI2IYZ 成田一二三
1987年5月2日、小島理事に同行して滋賀県彦根市にて開催中の世界古城
博会場で、3エリアのJA3JN小梶理事よりキャラバンカーを引き継ぎました。
広報効果を高めるための運用地選定や、どれだけの会員の協力を得られるか等々、
小島理事には、頭の痛いところです。こんな途方もない計画を立て実施すること
にした会長を今更恨んでも仕方のないことで、「とにかく3エリアには負けられ
ん!」というのが二人の一致した意見でした。
翌日より3日間の連休を全部使い、常滑、尾張旭市、南設楽郡鳳来町で運用し
ました。予想以上のパイルアップに嬉しい悲鳴の連続でしたが、その反面、大量
のカード1枚ごとにQTHを明記するのは大変な仕事であることを知りました。
と言っても、一回限りの使用にゴム印を作ることも不経済なことです。こんな
時、年の甲でユニークな発想が出る某局のアイデアで大助かりとなりました。そ
れを紹介しますので、今後の移動運用のとき参考にされてはいかがでしょうか。
以下ゴム印に関する笑い話です。
尾張旭市の場合
運用地愛知県立森林公園内の公園管理事務所を訪れて、「こちらの正確な住所
のゴム印はございますでしょうか?」「ハイ、ありますよ」。あとは、お願いの
HOW TO DO。成功!。
南設楽郡鳳来町黄柳野原
地名はポエムでも、字数がやたら多く何とかしなければなりません。山村の小
さな村のため名案も浮かびません。20軒ばかりの村内で、それらしい家を探し
回っているうちに、間口が二間ほどの雑貨やさん兼駄菓子屋さん兼八百屋さん兼
酒屋さんを発見しました(英語で言うとスーパーマーケット?)。
メンバーのために少しの駄菓子を買い、必要もないのに領収書を作ってもらい
ました。
「アッター!」
でも商店名をはずして使用するのは高度のテクニックが必要です。成功!。
○○県○○町の場合
一郡一町のため、午前中350余局のQSOができました。500枚のカード
を持って町へ出かけました。
狙いをつけたのが○○町警部補派出所です。日曜日のため勤務中のお巡りさん
は3〜4名だけのようです。
どの組織でも社会でも、人数が多くなると正論異論を唱えてもったいぶる人が
いるものです。でも○○町のお巡りさんたちはとてもやさしそうな人ばかりです。
町の歴史を聞きながら、それとなくゴム印の借用をお願いいたしましたところ、
好意的に住所印を出していただきました。
パイルアップは終日続き、900余局のQSOで、暗闇の中で機材を撤収した
のが8時半頃になっていました。不足分500枚のために再度派出所を訪れまし
た。
ところが受付カウンターに「只今警らに出かけております。ご用の方は、11
0番に電話してください」と書いてあります。
某局は「電話する」と言い、小島理事は心配顔で「止めたほうがいい」と言っ
ています。簡単に来られるところでもなく、意を決して電話することにしました。
「ハイ、こちら110番」
「私達、用事があって○○町の派出所に来ているのですが警ら中なので‥‥」
「どんな用事ですか?。交通事故ですか?」
「イイエ、ゴム印をお借りしたいのですが」
「ゴム印?。ゴム印を持って出頭されたのですか?‥‥。とにかくそこでお待
ちください。無線で帰所するよう連絡します」
待つこと3〜4分、午前中のお巡りさんたちが笑いながらパトカーより降りて
来られました。大成功!。
閑話休題
今までは同じエリアのメンバーでも名簿でしか知る事ができませんでした。会
員相互のコミュニケーションを持つことができたのは、このキャラバンの運用の
おかげです。
9エリアに引き継いだ頃には、会長を恨んでいた気持ちも消えて、何か大事な
ものを取り上げられてしまったような寂しい感じさえしました。
またゴム印借用の件も、ここに書いたように数行の簡単なものでなく、互いが
信頼できるまでには、人と人との会話が必要でした。見ず知らずの私達に心を開
いてくれたのも、日頃ささやかですが発展途上国の人々のために活動しているこ
とが、暖かさとして伝わったのでしょうか。